Teamedia News Vol.88「農業農村部発表の2025年注力品種」

農業農村部発表の2025年注力品種

中国の農業農村部が2025年の農産品における注力品種や普及に注力する技術について、2025年4月に発表していたものが、7月21日に一般にも公開されました。

农业农村部办公厅关于推介发布2025年农业主导品种主推技术的通知

https://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/202507/content_7033095.htm

その中には、茶樹品種に関する言及と茶業技術に関するもありましたので、整理してお伝えします。

 

中茶108と白葉一号が注力品種に選定

まず品種については、中茶108と白葉一号が注力すべき品種として提示されていました。

白葉一号は、安吉白茶の品種として知られていることも多いので、馴染み深いものかもしれません。この品種が選定された理由として、近年では、安吉県から貧困地域への白葉一号の苗の寄贈などが行われています。このような流れを後押しする意図も大きいのではないかと思われます。

もう一つの中茶108は、中国農業科学院茶葉研究所が育成し、2010年に品種登録された品種です。この品種は龍井43品種に放射線を照射して突然変異を促したものから生まれた品種で、龍井43よりも発芽が2~5日程度早く、そして龍井43品種の泣き所でもあった炭疽病にかかりにくいという特性を有します。

かねてより注目されていた品種ではあるのですが、西湖龍井茶の産地などではあまり普及が進んでいませんでした。その理由として、西湖龍井茶は使用できる品種が、龍井群体種(在来種)とそこから選抜育成された品種である龍井43、龍井長葉に限ると規定されていたことが挙げられます。

しかし、現在の西湖龍井茶の団体標準では、中茶108も使用できる品種として認められるようになり、現地の茶農家でも中茶108をテスト的に栽培するケースも出て来ました。

現在の主力品種である龍井43も樹齢が随分経ってきており、そろそろ更新の時期を迎えるタイミングに差し掛かっています。そうした状況にある中で、今回の注力品種への追加で、この流れが一層加速するかもしれません。

 

生態茶園建設と品質向上が注力技術に

もう一つ、注力技術として「効率的な生態茶園の建設と加工品質向上のための統合技術」が挙げられていました。

生態茶園というのは、いわゆる生態系を活かしたエコな茶園のことです。農薬の代わりに誘虫板の使用などの生態的防除を行い、化学肥料の代わりに緑肥や有機肥料を使用するような農法の茶園のことです。

近年、ヨーロッパへの輸出などを目指す企業も出てきているため、そこへの扶助を行う狙いがあると見られます。